adieu

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 荒野の中の集落は、陸の孤島と言っても大袈裟ではない程、周囲の環境とは隔絶状態にあった。  集落の外周には柵が立てられ、それに沿って堀も巡らせてある。更にその堀の外周にも 、柵と堀が巡らせていた。  二重に張り巡らされた外堀は、外側の堀の北に一つと、内堀の南に一つだけ出入り口があるのみだ。  その造はまるで、何者かからの侵略に備えた守りの様でもあった。 「どうぞ」    扉をノックする音を聞き、ケイシーは身なりを整え言った。  入ってきたのはガイと言う成人した男だった。ガイはケイシーを見るなり跪き、頭を下げた。 「お休みの所、大変申し訳ございません。ロイからあなたの様子が心配だと聞いたもので、大事があってはならないと思い伺いました」  見るからに屈強な大男が、目一杯に身体を小さくし、(かしこ)まっている。  状況が掴めないケイシーは、ただ目を丸くさせるだけで、言葉が出てこない。   「どこか、具合でも……?」  心配そうにケイシーへ問いかけるガイ。  ケイシーが何かに気づき、ふとガイの側に目をやると先程の少年ロイがいた。 「ロイ……」 「ケイシーお姉ちゃん、ガイの事も分からないんだね?」  ケイシーは戸惑い、視線を落とし、小さく頷いた。  その様子を見ると、ガイはロイを連れて部屋を出た。 「ロイ、ケイシー様に何があったか知らないが、相当お疲れのご様子だ。今は少し休ませてあげよう」  ガイは、切長の目を細め、ロイを宥める様に言った。
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