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ケイシーは、一目見ただけでロイの異常を認識した。
「何処行くのケイシーお姉ちゃん。まさか逃げようなんて考えてたのかな……ダメだよ」
ロイの目が一瞬赤く光る。
目を合わせたケイシーは、身体が痺れ金縛りなってしまった。
「ご馳走を用意してるんだ」
「とっておきのご馳走を……な」
意識ははっきりしたまま身体だけが動かなくなってしまったケイシーを、ガイが再び担ぎ上げ広場へ向かった。
広場では中央にある何かを、囲むようにして村人達が集まっている。
ケイシーからは、その何かはまだはっきり見えない。ただ、木の柱にそれが縛り付けてあるのはわかった。
徐々に広場へ近づくと、それはフードのあるボロ布を纏っている。
村人たちは皆、それをじっと静かに見ていた。
「皆の者、待たせたな」
広場に集まった村人たちにガイがそう呼びかけた。すると、これまで静かだった村人たちは、一斉にガイを注視し、唸りを上げた。
「め、飯だ!」
「はやく食わせろ!」
村人たちもガイやロイと同じく、目から妖しい光を放っている。しかし、村人たちの場合、理性のかけらもないただの餓鬼と化していた。
「道を開けよ」
群衆にガイが言うと、広場中央まで一直線に道が開けた。その出来た道を、ガイはケイシーを担いだままゆっくりと進む。
途中、一人の村人がケイシーに触れようと手を伸ばしてきた。
「く……わせろ」
「ダメだよ。『待て』だ!」
それをよく思わないロイが、その村人の腹めがけて渾身の蹴りを見舞った。その村人は、数人を巻き込んで群衆の輪から弾き飛ばされ、事切れた。
「興醒めするところだ。ちゃんと躾しろロイ」
「そんなの分かってるよ」
広場中央へ出ると、いつの間にかもう一本柱が建ててあり、ガイはその側でいったんケイシーを降ろしロイに言った。
「準備してくれ」
「はいはい」
ロイは大きくため息を漏らした後、のけぞるほど大きく息を吸い込んだ。すると、ロイの身体が大きく膨らみ巨大化した。その体は巨躯のガイを優に見下ろすくらいだ。
そして、ケイシーをつまみ上げると簡単に柱へ縛りつけた。
痺れは解けたものの、しっかり固縛されケイシーはもがく事すら出来ない。
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