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何処までも続く無人の平原が終わり、遠目に町が見え始める。それを避ける様に遊牧民の集団が西へと向かっている。
軽装ながら百騎程の騎兵が周囲を固め、それの家族と羊が共に行動している。
『見えたぞ。』
この集団を率いる長が、目的地を真っ先に見つけた。大人達があれがそうなのか、いや主が言うなら間違いねぇ、と話すのを聞いて子供達はようやく交易路の西端に辿り着いた事に気付く。
『兄ちゃん。』
父さんが着いたって言ってるよ、と弟が幼いながら上手な手綱さばきで後ろに駆けて来た。普段なら良かったなと応じているであろう兄は、少し表情を強張らせる。
両親は二つ下の弟に細かく伝えなかったのだろうと、ハスレイという少年はその対処の仕方に不満をおぼえる。
『王国の魔法を学んで来るのだ。』
そう言われた際に自然と親の本音を理解した。
『人質ですか?』
幼い子が父親の元に送られて来る事に息子は疑問を抱かないと思っていたのか、父親は少し意外そうな顔をした。
母はただ、行ってきなさいと言い放った。
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