プロローグ

2/2
前へ
/211ページ
次へ
 その香水店には、若く、時には探偵のように謎を解く、天才調香師がいる。  控えめだけれど一生懸命で、可愛らしいアルバイト店員もいる。    商店街の細い脇道を進んだ突き当り。アーケードの屋根が壊れ、日の当たっている庭。  あなたが一歩足を踏み入れれば、彼らは振り返り、いらっしゃいませと笑顔で迎えてくれるだろう。  でもきっと、あなたは気づかない。彼らが互いに秘密を抱え、笑顔の奥に悲しみを抱えていることに。  この物語は、そんな二人の再生の物語。そして二人が、不器用ながらも手を取り合うまでの、物語。
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!

434人が本棚に入れています
本棚に追加