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悠久の夢を見ていた。
何度も何度も、くり返し。
温かい物が体を包んでいる。
近頃はここもずっと窮屈になった。
私はいつも何かに囲まれていた。
それは温かい何か、私をそっと揺らす揺りかご。
それから柔らかい壁。
私。
ザァザァと耳をいつも震わせるのは、これは、音。
どんどん、ドクンドクン。
定期的に響く音は私を微睡みに誘った。
『私』もそれは同じで、決まって私はこの音を聞き夢を見て、目を覚まし、そして夢を見た。
時折遠くからくぐもった何かが聞こえる。
それが一つではないことに気がついたのはいつだったか。
私と『私』は体を寄せ合い、よくそのことについて考えた。
『私』は私だから、決まって同じ結論を出した。
あれは「私ではない」し「ここではない」と。
「ここはもっと優しく、強く聞こえる」から、あれはちがう。
私はそんな結論を出すと、あれの正体を探ろうと息を潜めた。
さあ来い。
しかし私が大人しく待てばあれは必ず遠ざかった。
ガッカリして『私』はそっぽを向く。
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