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夢の中で私は最初、忙しく点滅するシグナルと命令のまま、休む暇なく一つ一つを造りあげた。
急がなければならない。
兎に角がむしゃらに造り続けるうちに、私が出来上がった。
魚になって、どこへでも泳いだ。
『私』は魚だ。
そのうちにまた夢の中で、泳ぐのも飽きただろうと別のものが付け足された。
小さくて不便ではあったが、暇つぶしには持ってこいの、いくつかに別れた突起。
私は魚をやめて、トカゲになった。
そうこうしているうちに夢と夢の間で『私』は帯を見つけ、掴まえるために躍起になった。
私はすれ違い、壁にぶつかる。
帯を掴まえたかった。
夢は続いて、音を教えた。
これは画期的であった。
世界は一変した。
私は自分のある場所を知ったし「ここ」と「ここじゃないもの」を知った。
やがて『私』は哺乳類になった。
ああ、もっと早くこうなっていればなぁ。
手足と指でいくらでも広い場所を漂ったのに。
今じゃ狭くて仕方ない。
私と『私』はぐるぐるとその場で回ってみた。
すれ違うことが出来なくなってきた。
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