TEST DATE

2/4
前へ
/4ページ
次へ
夢の中で私は最初、忙しく点滅するシグナルと命令のまま、休む暇なく一つ一つを造りあげた。 急がなければならない。 兎に角がむしゃらに造り続けるうちに、私が出来上がった。 魚になって、どこへでも泳いだ。 『私』は魚だ。 そのうちにまた夢の中で、泳ぐのも飽きただろうと別のものが付け足された。 小さくて不便ではあったが、暇つぶしには持ってこいの、いくつかに別れた突起。 私は魚をやめて、トカゲになった。 そうこうしているうちに夢と夢の間で『私』は帯を見つけ、掴まえるために躍起になった。 私はすれ違い、壁にぶつかる。 帯を掴まえたかった。 夢は続いて、音を教えた。 これは画期的であった。 世界は一変した。 私は自分のある場所を知ったし「ここ」と「ここじゃないもの」を知った。 やがて『私』は哺乳類になった。 ああ、もっと早くこうなっていればなぁ。 手足と指でいくらでも広い場所を漂ったのに。 今じゃ狭くて仕方ない。 私と『私』はぐるぐるとその場で回ってみた。 すれ違うことが出来なくなってきた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加