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12. side RYO
あの後の事は、自分でもどうしようもなかった。
あの日のことをなかった事にして、彼女をデートに誘った。
彼女から承諾の返事をもらい、今までと変わらぬ付き合いができるかと思ったが、体を合わせるときに、とても苦痛な表情を浮かべるのに気がついた。
あの時のあの会話を聞かれていたのだとすれば、彼女は知ったに違いない。目の前にいる男が、面白みもなく、人間味のない男であることを。
そんな男に抱かれるのが苦痛になったのだと思った。
より一層丁寧に、彼女の苦痛に気づかないふりをしていたけれど。
「あの。こういうの、やっぱりよくないと思うので、もう会いません。今まで、ありがとうございました。」
別れの言葉を口にされた。
まるで、壊れた機械みたいだ。それが今の自分の感想。
麗から言われたオフィスのデザインを考えても、ろくなアイディアも浮かばず、想い浮かぶのは彼女の事ばかり。
会社にいても、彼女を目で追って、とても仕事にならないから、上司に許可を得て、自宅で仕事を進めたが、それでもやはり、捗らない。自宅に引きこもり今日でもう五日目。そろそろ会社に戻らなくてはいけないが、まだ何にも浮かんでない。
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