12. side RYO

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三日ほど前に姉が来た。 「なにここ。ただでさえ暗い部屋が、真っ暗なんですけど。」 先日、チャイムも鳴らさずやってきた姉。もう、それを指摘する気力もない。 「あぁ。」 「あぁじゃないわよ!携帯に電話しても出ないし、会社に行ったら、自宅で仕事しているっていうし。うちのオフィスのデザインどうなってるの!」 「今やってる。」 そういって姉が覗き込んだ、紙は白紙でなんにも書かれていない。 「これほどとはね。」 姉のあきれるような顔も、どうでもよかった。 「ちゃんと聞いたの?何でこうなったのか。」 「聞かなくてもわかる。あの時の会話を彼女が聞いたんだ。俺が嫌になったに決まっている。」 「そうかもしれないけど、違うかもしれないでしょ。ちゃんと、相手に聞きなさいよ。」 「いいよ。ほかっておいて。」 いよいよ俺は、白紙の紙を放り出し、目に手を当て、ソファーに足をのばす。 「いい大人がいつまでも腐って!!好きにしなさい!」 鍵が閉まって、姉が怒って出ていくのが分かった。 こういう時、合鍵があると便利だよな。 どうでもいいことを思いながら、また、彼女のことを思い浮かべる。 まだ、紙には、一つのアイディアも、かかれていない。 今日もまた、白紙の紙をみて、彼女のことを思い悩む。 一人の時には、一人が普通だったのに。彼女を知った後では、彼女を考えない方が難しい。 ソファーに足を投げ出し、天井を見上げる。目を閉じているので、何も見えないが、はっきりと失った彼女の笑顔が浮かんでいた。
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