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13. side メイ
彼が会社に来なくなって、五日がたった。
どうやら、自宅で仕事をしているらしいと、佐々木さんから聞いたけど、彼のいないオフィスは、やっぱり寂しい。他に婚約者がいる事もつらいけど、彼と会えないのもつらい。
仕事は仕事でちゃんとこなすけれど、ついつい彼のいないデスクに目が行き、涙が出そうになる。
今日は、金曜日。長い一週間が終わり、ようやくエントランスを出る。
「あなた、ちょっといいかしら。」
覚えのある香水と声に意識を向けると、彼女がいた。
そう彼女は、彼の婚約者の
「冴島様。」
「麗でいいわ。河合芽唯さん。プラベートなのだけど、ちょっと今から時間ある?」
彼女に誘われて、割烹にきた。
「大将、奥あいてる?」
「あいよっ。なんだ、今日は別嬪さん二人だね。」
「そうなの。誰にも邪魔されたくないから、奥借りるわね。」
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