15. side メイ

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15. side メイ

「あなた、伶から、何も聞いてないのね。というか、あの子、人付き合いに慣れてないから、こういう事を話して自分を知ってもらうっていう感覚がないと思うから、私が言うけどね。」 話の衝撃で、おいしいはずの料理の味は、ほとんどわからなかった。 冴島さんは、小さい頃に離婚した実のお姉さんだった。婚約者じゃなく、姉。それって、彼の傍にいる女性は、いないって事? 「私が怜の婚約者?やめてよ!私、あんな無機質な男、弟じゃなかったら、お断りよ!!」 私の身を引き裂かれるような痛みは、一言で終わったが、冴島さんの話は、それだけでは終わらなかった。 小さい頃に離婚をして、お父さんに引きとられただとか、それから、お手伝いさんにも懐かなくて、ずっと一人でいただとか、お父さんは、勤めているデザイン氷川の社長だとか、それから、いままで女性とお付き合いをしたことがない弟に色々世話を焼いていただとか。 初めて聞く話に、何から驚いたらいいのか分からないくらいだった。 婚約者じゃなく、姉だったことも、彼が社長の息子だったとも、あれだけスマートにエスコートしてくれる彼が、今まで誰とも付き合ったことがない事にも驚きだった。 体を重ねる時にも、余裕たっぷりだったから、体の関係だけの女性がいたのかと聞いたけれど、 「そんなのつくるような男じゃないわ。多分、芽愛ちゃんと付き合いたいと思うようになって、色々調べて、内心ドキドキだったけれど、それを出さないようにしてたんじゃないかしら。」 との彼女の言葉に、彼への愛しさで胸が痛かった。
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