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「別れを告げたのは、氷川さんに婚約者がいて、私はセフレだと思ったからで、氷川さんが嫌になっている訳ではありません。」
彼は、信じられないのか、苦い表情のままだった。
「私は、氷川さんと一緒に仕事をして、氷川さんのデザインは凄いなと思いました。シンプルで、機能的なデザインを考えられることが。それは、氷川さんの凄いところです。わたしは、そういうデザインを、かんがえる人がいてもいいと思います。」
「芽愛は、こんな、俺でいいの。」
「氷川さんがいい。氷川さんじゃないとダメ。」
彼に届けとばかりに、言葉を重ねる。
「それでも、あなたが悩むなら、どうすればいいか、いっしょに考えます。だから、一人にならないで。そばにいさせてください。あなたが、好きなの。」
そっと、彼の腕が私の背中に回る。
「もう、俺、芽愛の事、離さないよ。」
「離さないで。傍にいたい。」
「芽愛。ありがとう。好きだよ。」
お互いの体温を感じるように、ただ、抱き合っていた。
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