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「芽愛。今の嘘でしょ。目が泳いだ。ほんとは、まだあるよね?」
「・・・・・あとは、いままで、女性とお付き合いをしたことがない弟に色々世話を焼いたという話は聞きました。」
「やっぱり。」
俺は、思った通りの内容に、頭を抱えた。
「もう、消えていなくなりたい。」
「あの、でも、わたし、うれしかったんです。氷川さん、デートコース、いつも素敵で、前にお付き合いされてた人ともこうして過ごしたのかなって思ってたから。全部、氷川さんが、私のために考えてくれたのがわかってうれしかったです。」
「うん。全部芽愛に喜んでほしかった。他、なんて誰もいないよ。」
「それを聞いて、ますます氷川さんの事が好きになりました。」
彼女が下からのぞいて、そっとうかがうように質問をした。
「あと、私が初めてって聞いたんですが、ほんとですか?」
彼女のセリフに、顔から火が出るかと思った。恥ずかしさと、姉への怒りで。
「この年にもなって、経験してない男は嫌?」
「ううん。氷川さんいつも余裕たっぷりだったから、沢山経験してると思ってました。だから、それも聞いて、とっても嬉しかった。」
「俺の好きになった人が、芽愛でよかった。」
「え?」
彼女の疑問に答えるように、口づけをする。
俺のすべてを拾い上げてくれる、芽愛に出会えたことが、俺の人生で最も幸せな出来事だ。
余計なことをと思った部分もあるけれど、今度、姉貴にお礼を言おうと思う。
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