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第2話 足音
休日のある日、田中は娘と一緒に出かけていた。
「おとうさん、ゆうえんちたのしかったよ~!!」
「それは良かった、今度は、ママと行こうな。」
「うん、こんどはママもいっしょだよ!!」
妻が、仕事で来れなくなったので、田中は今日が仕事が休みで、2人で遊園地をまわり、気づけば、外は真っ暗で星がいくつも並んでいた。手を繋ぎながら家まで歩いている時、娘が言った。
「ほしきれいだね~♪」
「・・・そうだな。」
「ねえ、パパ。」
「何?」
「さっきからね、カツン、カツンてきこえるの。」
「・・・え?」
「カツン、カツン、てきこえるのうしろから。」
ばっと振り返れば、街頭がぽつんと照らすだけで誰もいなかった。
「・・・何もいないじゃないか。」
「ほんとうだよパパ!!ほら、またカツンていってるよ。」
人ならざるものが、後ろから憑いて来ているのか、それか、別の誰かが、ついて来ているのか分からないが、田中は薄気味悪く感じた。早く家に辿り着きたい一心で、娘の手を引いて、家まで足早に帰ることにした。
「あ、まただよ。」
麻た言った。耳を澄ましながら、聞こえる、聞こえないと言いながら、後ろや前を見る。田中は、子供の言っていることは本当か嘘か分からなくなる時がある。
「あ、またきこえる。」
「麻衣、止めなさい。」
「だってほんとうなんだよ!!」
「止めなさいと言ってるだろ!?」
「・・・パパにはきこえないんだ。」
「・・・麻衣、その足音っていつから聞こえたんだ?」
「うーんとね、いえからでたあとだよ。」
家から出た後だって!?田中は、さぁーと全身の血の気が引く様な感覚に陥る感覚がした。
「カツン、カツン、カツン、カツンって。」
ーーーーーーーカツンーーーーーーーーー
「!?」
田中にもはっきりと聞こえた足音、何故か嫌な予感がして娘に言った。
「麻衣、早く帰るぞ!!」
「わっ!?」
田中は急いで娘を抱き抱える様に、家へと急ぐ、カツン、カツン、カツン、カツカツカツカツカツカツと女のヒールの靴の音がけたたましく鳴り響く。
まさか、ついて来ているのか!?と田中が走れば、走るほど、後ろにいる奴も足早になる。家まで辿り着くと、急いで扉を勢いよく閉め、鍵を掛けて、田中は娘をゆっくりと下ろして息を整えて、疲れて玄関にその場に座ってしまった。慌てて帰って来た田中に、祖母と妻が何事かと駆けつけて来た。
「修也、あんたどうしたんだい!?汗だくじゃないか!!」
田中は呼吸が乱れながらも、一回深呼吸をしてゆっくりと話す。
「・・・後ろから誰かにつけられていたんだよ。」
「「え?」」
「カツカツカツって、誰もいないのに。足音がついて来たんだよ、本当だよ!?」
「一回見てみようか。」
「お願いします。」
祖母は、扉を開けて、外を見渡すがそこには誰もいない。
「いないじゃないか。」
「さっきまで、後ろにいたんだよ、なぁ、麻衣。」
「うん、ついてきてたんだよ、パパがいえにはいったとたん、おとがとまったよ。」
「・・・とにかく、麻衣は風呂に入って寝なさい。おばあちゃん、麻衣をお願いして良いですか?」
「分かったよ、ほら、麻衣。パパとママに挨拶なさい。」
「うん、パパ、ママおやすみ~♪」
「お休み。」
「ああ、お休み。」
むすめは、おばあちゃんに手を引かれて去って行く。そして、田中と妻の二人きりになった。妻は、田中に神妙に語りかける。
「・・・その話、本当なの?」
「本当だよ、最初は俺も気づかなかったんだ、でも、麻衣は、違かかった。」
「違うってどういう意味?」
「麻衣は、最初から気づいていたんだ。」
「!?」
「まるで、何かに憑かれているのかと可笑しくなったぞさっきは。」
「・・・きっと疲れてるのよその話は止めましょ。」
「何でだよ、本当のことなんだぞ!!」
「子供も戯言よ、明日になればもう忘れているわよ。落ち着いて頂戴。」
「・・・・そうなのかもしれないな。」
妻の言うとおり、自分が疲れているのかもしれないと思った。
「あ、あなた、入れ違いにね、さっき八嶋さんが来ていたのよ。」
「八嶋さん?」
「私、八嶋さんと長話になっちゃって、ぶどうワイン貰ったのよ、後、はいこれ、貴方からプレゼントよ。」
「これ、何?」
「てるてる坊主よ、アップリケの布を使って作ったって言ってたわ。」
「・・・てるてる坊主?」
黄色のラッピングされた袋に一個のてるてる坊主が入っていた。
田中は、夢で見た時と同じような光景を思い出した。気味が悪くてしょうがなかった。
「ありがとう、もう寝るよ。」
「あ、ああおやすみ。」
「おやすみ。」
田中は、急いでラッピングされた袋をすぐにゴミ箱に捨てた。
「一体、どうなっているんだ?」
田中は、今日あった出来事を受け入れないでいた。同様と混乱が入れ混じり、直ぐにベットに沈んで眠りについた。
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