第1話  八嶋佐恵子

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第3話 佐藤警部 1992年、12月5日東京都内、ある中学校で少女が首を吊って死んだ事件、あの事件は、少女の自殺とみて、事件は終わっている。だが、事件が不十分すぎると思い、東京都、品川市の犯罪特捜部、警部部長の佐藤祐博(さとうすけひろ)が、事件を追っていた。 「佐藤さん、この事件まだ見てるんすか?」 部下の、笹川圭吾(ささがわけいご)が声をかける。佐藤は、事件ファイルの資料を眺めて呟く。 「・・・ああ、もう10年ぐらい経つんだが、どうもこの事件は謎が多すぎる。」 「謎っすか?」 「ああ、全身が打撲、痣が痛々しく残っていて首には、縛られた跡が残っていて、屋上で首を吊って死んでいる。だが、本当にそうか?何かが起こって誤って、そこで事件が起きたと思われるんだ。」 「・・・例えば?」 「集団暴行とか。」 「集団暴行?」 「自殺より他殺の可能性があるが・・・まだまだ調べる必要がありそうだ。」 突如、ドアが開き、別の部下が、慌てた様子で入って来た。そして、佐藤警部に話かける。 「警部、事件です!!」 「すぐに行く、笹川行くぞ!!」   「はい!!」 ※※※ 東京都内某所のある高級マンションで一家惨殺事件が行った。被害者は、小学生の娘、中学生の息子、夫、妻4人、そのうちの息子、娘、妻が、リビングで何者かにナイフか何かで出血多量で倒れ、死亡していた。 佐藤警部がその様子を見て淡々と話す。 「こりゃ派手にやられてるな。」 「他殺ですか?」 「他殺だな、見ろ、血の跡が点々とある。」 「ほんとっすね、何処からですかね。」 「警部、夫の遺体がありました。」 「ああ、・・・こ、これは!?」 「げ、何すかこれ・・・。」 夫の方は、首を吊られて死んでいた。身体がだらりして顔はぐちゃぐちゃになって判別が分からない状態であった。 「同じだよ、あの事件と」 「同じ?」 「10年前の松山春花事件と、まさか、また、同じように殺されていくのか・・・・・・!!」 「あの事件は、自殺で、今起こっているのは他殺じゃないんすか?」 「馬鹿、てるてる坊主を見ろっ!?」 「あ!!」 「あの事件と同じだよ、傍にてるてる坊主が飾られている、直ぐに皆集めろ、緊急会議だ!!」 「はい!!」 ※※※ 朝食をとっていた田中一家にも、その朗報が流れた。 【昨夜、東京都内某所高級マンションで事件が発生しました。被害者は、萩原真さん一家、4人、娘、まどかちゃん、息子、直人君、祖母の菊江さん、夫以外はリビングで何者かによる出血多量で死亡、夫、真さんは首を吊って死んだとのことです。】 「萩原真、中学の同級生じゃないか!?」 がたりと、田中は立ち上がる。 「どうしたの?」 「俺と中学の同級生が殺されたんだよ、驚いたよほら、ニュースでやってる。」 「・・・本当ね、しかもうちのご近所じゃないの。」 「世の中物騒になってきたの~。」 「私達も気をつけなきゃね。」 「ああ・・・・・・。」 窓辺の所に、ティッシュとゴムで作られたてるてる坊主が飾られゆらゆらと揺れていた。 ※※※※※ 「おい、朝、ニュースで観たか例の殺人事件。」 「観たよ、気味が悪いよな、しかも亡くなったのは、俺の中学の同級生だったよ。」 「お前の?」 長島が田中に目を凝らす。 「何かの偶然なのか分からないけど、ここ最近、不可解なことばかり起きるんだよ。」 「不可解なこと?」 「八嶋さんが会った直後に家に来たり、娘と遊園地に行ってた時、ずっと誰かにつけられていたんだ。誰もいない筈なのに足音がツカツカって追って来るんだ。」 「ストーカーじゃないのか?」 「本当に分からないんだ。」 「まあ、またそんなことがあったら警察に被害届け出せば良いんじゃないのか?」 「・・・そうだな。」 そして、八嶋さんとは会わず、二週間が過ぎた。 そして、また事件が起きた。   ※※※※※ 2人目の犠牲者がでた。急遽、警察庁では、緊急会議ということで警察幹部が集まった。ボードにあるのは、一人目の犠牲者、二人目の犠牲者の相関図が並べている。佐藤警部が史記をとる。 「今朝、大阪市で殺人事件が起きました。被害者は中山一成35才、叔母の知恵さん71才が死亡、中山一成さんは二階で首を吊られて死んでいた模様です。」 「これで2人目か今後も増えそうだな。」 「首を吊って死んでいたって、4人一家殺害と似ているね。」 「犯人は同一人物の可能性があります。」 「その根拠は?」 「復讐ですよ。」 「復讐?」 「犯人は、過去の因縁があり、そのせいで憎しみ、怨み、憎悪に変わり、復讐に繋がる、だから・・・その時が来たのではないかと。」 「その時?」 「どういう意味だね。」 「もし、あの時、あの自殺した少女が死んでいるのではなく、【生きていた】としたら・・・?」 【!?】 「生きたいただと?あの事件は終わっているはず!?」 「首吊りの意味はあれはどういう意味なんだ?」 「みせしめですよ、これから調べるつもりです。過去の彼女に関係者を当たってみます。」 「この事件は、あの事件の再開か、佐藤君。君にこの担当を頼むよ。」 「ありがとうございます。」 「それでは解散!!」 ※※※※※ 「まあ、八嶋さんお上手ね。」 「それほどではないですよ。」 「わあ、お姉さん上手!!」 「良かったら麻衣ちゃんにあげるよ。」 「わあ、ありがとう!!」 テディベアを嬉しそうに抱きしめる麻衣に、妻は申し訳そうに言う。 「すいません、なんか貰っちゃって。」 「良いんです、私がやりたかっただけだから、裁縫が趣味なんですよ私。」 「そうなんですか、良かったら教えてくれませんか?今度、娘のお遊戯会があるので服作らなきゃいけないのですいません。」 「良いですよ、一緒にやりましょうか。」 「ありがとうございます、あ、良かったらクッキー焼いたので食べて下さいね。」 「まあ、頂きますね。」 ※※※※※ 女が、妻達に、別れを告げた直後、入れ違いに、祖母が現れる。祖母は、女を睨みつけながら、低く告げる。 「八嶋さんって言ったかね。」 「はい。」 「あんた何をするつもりなんだい、家族に手を出しちゃタダじゃおかないよ。」 「いやですよ、何もありませんよ。それじゃあまた。」 「あんた、隠しきれてないよ、血の匂いが。」
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