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そこには、ほとんど社員が集まっていた。目の前には、社長が立っていて、右手首の腕時計を見る。そろそろ良いかと頷き、社長が号令をかける。
「皆さん集まりましたね、急遽転勤してきた、八嶋佐恵子さんだ。アメリカの大手企業カンパニーからこちらに転勤して来た方です。じゃあ、八嶋さん自己紹介を。』
「はい。」
コツコツと赤いヒールを鳴らし、黒髪を靡かせスーツに身を包む女がゆっくりと正面に立つ。女は、淡々と透き通る声で話す。
「八嶋佐恵子(やしまさえこ)と申します。よろしくお願い致します。急遽、転勤してきたばかりで、分からないことだらけですが、皆さんのご指導の下、一生懸命頑張りますので、よろしくお願い致します。」
女が深々とお辞儀をされ、拍手が鳴る。田中達もつられて拍手をする。長島が田中に言う。
「すげー美人さんだな。」
「ああ。」
女は、淡々と自己紹介を終え、社長の隣に並ぶ、女は、ちらりと目線を、田中の方に向けるが、女はすぐに逸らし、社長と副社長と談笑する。田中は、不思議そうに何故、一瞬だけ此方を見たのか、分からなかった。だが、田中自身にはどうも違和感が拭えなかった。
「田中。」
「え?」
「何してんだ、戻るぞ。」
「あ、ああ。」
今のは気のせいだろうか?
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