第1話  八嶋佐恵子

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【女が来たことで何かが変わっていると】 女は、自身の右手首に付けている自身の腕時計を見て、あっと我に返り、田中と妻に顔を向け、申し訳なさそうに告げる。 「すいません、もう行かないといけないので。」 「それは、仕方ないわね~また、何時でもいらっしゃって下さいね。」 「はい、ありがとうございます、それじゃあまた、田中さんもまた明日。」 「はい、また明日。」 そう言って、女は出て行った。 「綺麗な人ね。」 「ああ。」 「修也、さっきの人は、誰やの?」 女の去って行った入れ違いに、祖母、(キヌ)が現れて言う。 「会社の人だよ。」 「・・・修也。」 「何、おばちゃん。」 「あの女には、充分気をつけるんだよ。」 祖母は声を低くして、女が出て行った玄関を鋭く睨みつけていた。     
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