第1話  八嶋佐恵子

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第1話  八嶋佐恵子

校舎裏に人気のない場所で、一人の三つ編みの少女が、激しい雨のなか、立ち尽くしていた。少女が見ていたのは、一冊の大学ノートであった。表面には少女に対して中傷的な言葉がマジックペンで大きく書かれ、見るに無惨な物になっていた。少女の服装もぼろぼろで、身体中には至る所にすり傷、打撲があり痛々しく残っている。少女は、悲しげにぽつりと呟いた。  『なんで私がこんな目に遭わなきゃいけないの?どうして、どうしてなの・・・?私は只、お友達が欲しかっただけなのに、誰も私のことなんて必要としていなかった。私は首に吊られている、てるてる坊主になっただけ!!」 少女は一変して激しい形相に変わり、大学ノートを強く踏みつけた。右足で何度も何度も踏みながら忌々しげに呟いた。 「殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる絶対に・・・!!【あいつ】を・・・、あいつ等を殺してやると!!あっはははははははは!!!」 突如として、大きな落雷が少女の近くに、けたたましく鳴り響いた。少女の心には、憎しみでいっぱいだった。
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