第1章 はじまりの朝

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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 学業品の区画はパイ屋さんの8軒先辺りにあった。この区画はさっきの通りとは様変わりして三角屋根のシックな建物が多い。 僕は周りのお店をよく見ようとキョロキョロしながら歩いていたので時々おばあちゃんに窘められる。そんな事を繰り返しながら目的のお店の前に来た。 "雨空糸オーダメイド店"は丁寧にニスが塗られてピカピカになったこげ茶色の木製の壁面に深い青緑色の三角屋根の建物だった。 2階と思われる部分にはステンドグラスの様な色とりどりの半球体の大きな窓が1つ付いていてそれがとても綺麗で見入ってしまった。 「トリー、入るわよ」 そう言われて我に返った僕は足早にお店に足を踏み入れる。 店内もピカピカのこげ茶空間で壁一面、沢山の引き出しがはめ込まれていた。2階だと思っていた部分に2階はなく、屋根まで吹き抜けていて上にも引き出しがあるみたい。 どうやって取るんだろう‥‥。 ふとそう思ったが僕は上から差し込むカラフルな光に夢中になっていた。 「うわぁ~」 僕はそのままキョロキョロと上下左右、辺り一面見回した。 どんな商品があるのか気になり右側の引き出しの1つを開けようとしたその時、 「勝手に開けてはいけない」 落ち着いてはいるが威厳のある低い声が響いた。
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