なみだ

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彼女とはその次の日から毎日のように電車で会うことになった。 「昨日はありがとうございました」 目の見えないはずの彼女から僕にそう声をかけてきたときはとても驚いた。 「……」 驚きで何も言葉にできなった僕に彼女は「雰囲気と、匂いでなんとなく分かるの」と小さな声で言った。ちなみにこの夜、僕は念入りに身体を洗ったのは言うまでもないだろう。 それから彼女とは電車友達になった。彼女は僕の高校の最寄り駅である駅から二つほど先の駅で降りた学校に通っているらしい。 彼女は明るい人で色々なことを話してくれた。学校であったこと、家であったこと、飼っている犬の事。僕はあまり話がうまくなくて返事を返せないことも多かった。それでも彼女はそれでいいのか、僕から離れていくことはなった。 彼女との時間は自分が普通ではないことを忘れさせてくれる大切な時間になっていった。 彼女との出会いは僕を変えた。 学年が変わった時にクラスで初めて友達と呼んでもいい存在ができたのだ。彼女と話すことで少し人と話すことに慣れてきたのか、成り行きで隣の机のクラスメイトと仲良くなった。男友達ができたのは初めてで、つい興奮して彼女に話したのを今でも覚えている。
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