雨の中で

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薫が目を覚ますとそこは見知らぬ天井があった。横を見ると知らない顔が (昨日、どうなったんだ) 薫の胸中は混乱したが、とりあえず起き上がった。 「。。つっ。。。。」 あるところから何故か鈍痛がする。 すると、もぞもぞと隣の男が起きだした。 薫は咄嗟に逃げようとしたがそれは男の手によって遮られた。 「どこいくの?薫」 薫は怯えた表情で 「。。。誰」と聞き返した。 「もしかして、昨日のこと覚えてない?」 コクリ、とうなづく薫。 「昨日、薫が倒れてたのを僕が助けたんだけど」 「あ、、すみません、迷惑かけて。。。すぐ出ます」 と言い急いで出ていく支度をしようとする。 「まって」 そして、それを男は引き止めた。 「昨日、約束したんだよ?忘れた?」 「約束。。。」 そうぽつりと呟き薫は昨日のことを必死に思い出そうとした。 (えっと、昨日はたしかすごく酔っててそれで、誰かの家に行ったような。。) 薫がじっと考えているのを男はそっと見守っていた。 「たしか、誰かとなにかしたような。。」 薫の意識が自然と自身の尻にいく。 「そう、それ僕」 「僕らは繋がったんだよ」 と男はいい顔で笑った。 薫はそれを聞き驚いた顔をして、言葉を失った。 「まあ、酔った勢いだから驚くのも無理ないよ、でも薫も受け入れたんだから共犯者だよ」 「なっ。。。」 「じゃあ、僕は朝飯作るから落ち着いたら降りてきて」 と、ぞんざいに言い放って部屋を出ていった。 男が出ていって静かになった部屋では薫ひとりが取り残された。 静寂につつまれたその部屋で その男の顔には密かに笑みが伺えた。
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