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複数の触手を切り落とし、一気に巨大生物は迫るアルミス。
巨大生物は、アルミスの体を喰い千切らんと更に無数の触手を撃ち放つが、勝負は既に決していた。
進化したアルミスの想具の新たなる能力によって、傷口より体液を侵食された巨大生物は、数秒と経たずしてアルミスの傀儡と化したのである。
それより三日後ーー。
突如、巨大生物が流城塞都市バルガスを強襲した。
バルガスの自衛団は、この突然の強襲に対応しきれず、バルガス内に巨大生物の侵入を許す事となる。
そして、僅かに対応を始めた自衛団の者達を瞬時に蹴散らし、巨大生物は悪徳議長バルネロ・ガナックの屋敷に向けて突撃した。
それより数時間後ーー。
巨大生物はバルネロと数人の護衛者達の手により討伐される。
だが、その代償は決して安いものではなかった。
バルネロ屋敷内の兵力は最早、十分の一と残っていなかったのである。
「くそっ、くそ、くそッ!!
何でだ!?
何で、こんな事になりやがる!!?」
状況が把握出来ず、バルネロが忌々しげに怒りを撒き散らした。
しかし、その直後ーー。
「それが貴様の行った事の報いだーー。」
冷たい声が響き渡り、次の瞬間、数人の護衛者達の首が床へと転げ落ちる。
バルネロは驚愕した表情で、声の出所をあった先に視線を移す。
「アルミス・ブラウドーー!?
お、お前、生きていたのか!!」
巨大生物の死骸の傍らに立ち、アルミスは氷の様に冷たい眼差しをバルネロへと向けた。
「償いの時がきたぞバルネロ....。
貴様のくだらない理屈で犠牲にしてきた者達に、その薄汚い命をもって詫びるがいいーー。」
「付け上がるなよ、殺し屋風情が!!
お前如き輩に敗れる、暴刃のバルネロではないはーー!!」
バルネロはアルミスに向けて、大音量の雄叫びを放ちながら鉄板の様な大剣を構える。
そして、そのまま一気にアルミスへと斬りかかった。
バルネロが持つ大剣の想具カイジンは、刃周辺の空気を振動させ強烈な破壊空間を生み出し、触れる物を灰塵へと変える想具である。
その上、バルネロが持つ固有能力たる分体は、現在の自身の状態を再現した形での分身を作り出すという厄介な代物だった。
アルミスに向けて突進し、カイジンを振るう四人のバルネロ。
それは明らかなる脅威であり、アルミスが圧倒的不利な状況にあるのは誰の目から見ても明らかだった。
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