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「ふふふ、俺は至って大真面目だぞアルミス?
俺は利にならない事はしない主義なのさ。
故の提案だアルミス、お前とてあれだけの出血ーー。
もう余り時間が残されていないんだろう?」
バルネロはアルミスを嘲笑うかのように、下卑たる笑みを浮かべた。
(・・・・・全てお見通しという訳か、忌々しいくらい頭の回る男だな。
だがーー。)
アルミスは、冷たい笑みを浮かべながらバルネロに告げる。
「そう言われて、憎んでる相手と組む馬鹿がいると思うのか?」
「まぁ、そう言うな。
お前の家族や恋人、友人達を殺してしまった事はすまないとは思っている。
しかし良く考えてみろ、絶対的な権力と富が手に入るのだぞ?
お前が失ったものを差し引いても得だとは思わないか?」
バルネロは悪びれる様子も無く、アルミスに言う。
そうある事がさも当然であるかのようなバルネロの口調に対し、アルミスは自分の内側に吹雪のように、冷たい殺意が湧き上がるのを感じた。
そして、アルミスは当然の結論に辿り着く。
命を賭けて、必ずバルネロを抹殺するという結論にーー。
「論外だな。
お前の命に比べたら割りに合わな過ぎて、比べる価値すら無い。
さっさと死んで、犠牲にしてきた皆に詫びろバルネローー!」
「交渉決裂という訳か....この愚か者がッ!!」
バルネロは足に喰らいついた水蛇を、大剣の一撃で切り飛ばし、再び分体を作り出す。
足を負傷している為、速度こそ少し低下してはいるが、それでも迅速なる動きは未だ健在だった。
しかし、攻撃はアルミスに通じない現実が壁として、バルネロの前に立ちはだかる。
「さあ、どうする?
俺には攻撃は通じないぞバルネロ!」
「さて、そいつはどうかな?」
バルネロと分体達は、素早い動きでアルミスの生み出した水蛇を切り落としながら、不敵に笑う。
(成る程な......。
俺が力尽きるまでの時間稼ぎをするつもりかーー?)
アルミスはバルネロの狙いに気付き、舌打ちした。
バルネロと分体は水面から現れる水蛇を、巧みな剣さばきで切り刻みアルミスの攻撃の一切を寄せ付けない。
このままでは、アルミスが力尽きるのは時間の問題だった....しかしーー。
そんな状況下でアルミスが、勝ち誇った笑みを浮かべる。
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