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「ふん、何を笑っている?
自らが選んだ選択を今更後悔し、自暴自棄にでもなったのか、アルミス?」
「ふっ......いや、そうじゃない。
何か滑稽に感じてな。」
「滑稽だとーー?
何の事を言っているのだ、お前は?」
「いや何、時間を稼ぎをしたかったのは、実はお前じゃない。
俺の方だったってことさーー。」
「なん....だとーー?」
アルミスの一言が放たれた直後、バルネロの顔から余裕の笑みが消えた。
その原因は二つーー。
信じて疑わなかった勝利の確信が、揺らいだが故にーー。
そして、理由のもう一つは......。
「ぐうっーー??
な、何故だ....何で、俺の体が動かない!!?
アルミス、てめえ、何をしやがったんだ!?」
突然生じた異常事態に、バルネロの顔から余裕の笑みが消える。
「中々、骨が折れたぞバルネロ....。
体内組織の操作が可能な、お前の血液を支配するのはなーー。
だが....お前の悪運もこれで終わりだ。」
アルミスは、フラつく体で踏ん張りながらバルネロを見据えた。
「やっ、やめろ、頼むから冷静に話し合おう!
なっ、冷静に話し合って、お互いの利益になる道を模索しようじゃないか!?」
逃れられぬ死を突き付けられ、バルネロはアルミスに命乞いをする。
しかし、アルミスは無表情のままバルネロに告げた。
「最後まで見苦しい奴だな、もう諦めろ。
お前の人生はここで終わりだ。」
アルミスがそう言い放つと同時、バルネロの体内から無数の水蛇が飛び出し、バルネロの口より、断末魔の叫びが木霊する。
(そして、俺の人生もここで終わるーー。
これ....で、漸く....皆に会いに行ける....な?。)
アルミスはバルネロの死を確認し終えると、力無く床へと倒れ込んだ。
それから数時間後。
バルネロが率いる奴隷商団に捕まったシオンを救出するべく、リュートがバルネロの屋敷を訪れるーー。
そして、リュートは巨大生物の強襲によって半壊したバルネロの屋敷内で、壮絶なる最高を遂げたアルミスの遺体を発見した...。
それが本来、アルミスが辿るべき運命。
リュートやシオンとは、会話一つ交わす事なく、ただ不遇なる最後を遂げるのがアルミス運命だったーー。
だが、フェイト・ブレードの能力【未来視】で、アルミスが辿る運命を知ったリュートは、アルミスの運命改変を決意する。
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