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白き刃と黒き刃が重なり合い、火花を散らす。
白き刀を持ちし者は、純白の装身具を纏う少女。
そして、黒き刀を持ちし者は、漆黒の装身具を纏いし青年。
桜の花びらが舞い散る中、交差する白き光と黒き光。
黒き残像を残し、青年の鋭き剣閃が走る。
だが、少女は桜の花びらを巻き込み空を舞うかのように、その鋭き一閃を紙一重で受け流す。
まるで最初から、その一撃が放たれる事を知っていたかのようにーー。
その必殺の一閃を受け流されたにも関わらず、青年は優しい微笑みを少女へと向けた。
青年の剣撃を受け流し終えた少女もまた、青年に向けて微笑み返す。
鋭き剣技の応酬なれど二人の剣閃に、殺意や殺気は無かった。
それはまるで語り合いーー。
二人の一刀から放たれる一撃一撃が、思いを込めた言葉のように交錯する。
だが、そんな奇妙な穏やかさを有する時間も終わりの時が近付きつつあった。
「強くなったなーー。
けど、もう時間もない....そろそろ終わらせよう。」
青年は、やや寂しげな口調で少女に語りかける。
少女は青年の言葉を受けて、無言のまま頷いた。
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