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「君が何を成そうとしているのか、見届けさせてもらうよーー。」
アルミスがシオンへと、そう告げた直後、不意にアルミス頭上に衝撃が走る。
「ぐおっーー!
痛ッァーー!??」
アルミスは自らの頭に襲いかかった激痛に悶えながら、後ろを振り向く。
次の瞬間、アルミスは自らの身に起こった状況を理解した。
アルミスの後ろに立っていたのは、褐色の肌をした軽装の衣装を纏う女性、メリル・カイム。
そして、その右手には扇型の想具フレンティスが握られている。
「ちょ....メリル姉さん、いきなり何すんの!?
てっ....頭から滅茶苦茶、血が出てるんですけど!!?」
「そんなの直ぐ、治せるんだから男がウダウダ言ってんじゃないわよ!
そんな事よりもアンタ、ちゃんと仕事しなさいよ?
侵入したのが美少女だからって、ちょっと質問して、はいどーぞーとか幾らなんでも適当過ぎないかしら?」
「えっ......??
いやいや、違うよメリル姉さん!?
俺、そんな適当な事してないからね!?
ほらリュートさんが、客人に手を出さないように言ってたでしょ?」
「確かに言ってたわよ?
それでも私達は魔王軍の将軍って立場なんだから、そこは責任感を持って対応しなさいよ?」
アルミスは想具の能力で、頭の治療をしながら、言いにくそうにメリルへと告げた。
「いや....メリル姉さん絶対、俺が女性に甘いから職務を手抜きしてるとか、そんな類いの勘違いしてるでしょ?」
「違うとでも言うつもり?
一応、言い訳があるなら聞いてあげるけどーー?」
「・・・・・・言い訳も何も、彼女がシオンだって絶対に気付いてないでしょ、メリル姉さん?」
「えっ....シオン??」
「お久し振りです、メリルさん。」
メリルは唖然とした表情で、シオンの姿を確認しーー。
数秒後、バツが悪そうに苦笑した。
ーーーーーー
ーー五年前ーー
シオンがメリルと出会ったのは、バルガスのバルネロの屋敷....。
その地下牢だった。
メリルは旅の演舞師の一団に所属し、団の舞姫として旅の演舞を続けていたのである。
しかし、その途中で寄ったバルガスで運悪くバルネロの目に止まってしまった。
その後にバルネロはメリルに、自分のものになるよう幾度となく迫ってきたのだが、メリルはその誘いをことごとく断ったのだがーー。
それが悲劇の始まりだった。
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