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「彼女が何故、我々と同じ行動に至っているのかーー。
君が気にかけているのは、その事だねリュミエラ?」
「はい、その通りです。」とリュミエラは静かな口調で頷く。
そして、言葉を続ける。
「現状、考えられる事は一つしかありません。
彼女は我々と同じ目的で動いている【唯一たる者】の存在を知りし者という事です。
しかし【唯一たる者】は古より封じられてきた禁忌の存在....。
その存在を知る者は限られし者のみです。
つまり封印の関係者かーー。」
「【唯一たる者】に関わりのある者かーーと言いたいのだね、リュミエラ?」
リュートの言葉を受けて、リュミエラは小さく頷いた。
「仰る通りですリュート。
しかし、【唯一なる者】に関わりのある者となれば、限られてきます。
私達とーー・・・・・・。」
「シオンかーー。」
リュミエラはリュートの言葉に、無言で頷く。
「はい、それ以外には考えられません。
所で、そろそろ隠し事は無しにしませんか?
未来を変えられる貴方ならば今日、シオンがここを訪れる事は分かっていた筈です。
それに、もしシオンが貴方が為そうとしている事と同じ事をしようとしているならば、協力者として現れるのが必然。
しかし彼女はーー。」
「白き剣聖という立場で、私達の前に現れたーー。
何故、漆黒の魔王の対抗勢力の立場で我々の前に現れたのか?
その訳を知りたいんだね?」
その言葉に、頷きつつリュミエラはリュートに告げる。
「私には、どうしても腑に落ちないのです。
何故、我々と同じ方法を選びながら、私達に敵対する形で我々の元を訪れたのかがーー。」
そう言い終えた直後、リュミエラはやや躊躇しながら再度、リュートに向けて告げた。
「いいえ......そうではありませんねーー。
正直、見当はついています。
彼女は貴方に代わって、為し遂げようとしている。
そして、彼女の性格からして、その理由はただ一つです....。」
そう言い終えた後、リュミエラは沈黙する。
(・・・・・幾度も経験してきた状況ではあるが、慣れないものだな....。
だが、どうする....真実を伝えるべきか、伝えざるべきかーー?)
リュートは最早、引き返せぬ局面において真実を伝えるべきか、伝えざるべきかを迷っていた。
真実を伝えようと伝えまいと、これから起こるべき状況に何ら影響はない。
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