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しかし、真実を伝える事は、苦しみや知ることの責任すらも、負わせる事となる。
だが、長年ともに助け合い戦ってきた信頼すべき仲間である彼女に、真実を伝えなければ彼女の信頼を裏切る事になるだろう。
(伝えるべきだろうな....。)
少し悩んだ末に、リュートは伝えるとの決断を下す。
そうした理由は、やはり大切な仲間であるリュミエラの思いを裏切れなかったからである。
「分かった......真実を君に伝えよう。
リュミエラ、僕の方に掌を向けてくれないか?」
「分かりました。
こうですか?」
「あぁ、それで大丈夫。」
そう言いながらリュートは、リュミエラの右手に黒きフェイト・ブレードの柄を静かに置いた。
その直後、リュミエラの中に膨大なるイメージが流れ込み、リュミエラは零れ落ちる涙と共に力無くヘタリ込む。
そして、その数秒後、リュミエラは弱々しいか細き声でリュートへと問い掛けた。
「ほ、本当に....この方法しか....無いのですか?」
「そう・・・・それしか方法は無いんだよーー。
もう分かっているとは思うけど今日、シオンがここを訪れるのは僕に代わって、この任を果たす為だ。」
「・・・・・やはりそうなのですね。
正直、予想は....していました......。
最悪の可能性としてーー・・・・・。
でも何故、この事を私に伝えようと思ったのですか....?
この事を知った私が、彼女に加担する可能性だってあるのですよーー?」
リュミエラは、悲しげな瞳をリュートに向ける。
しかし、リュートは淡々とリュミエラに告げた。
「その可能性は皆無だと、君自身が一番良く分かっている筈だ....。
他の者より多くの悲しみや苦しみを知っている君には、その選択は出来ない。
もし、君がそんな選択を出来る者だったならば君は今、僕達と共に居ないよ。
君は誰かを犠牲にして、何かを得ようとする者にはなれないからね?」
「........。」
リュミエラは無言のまま、リュートの事を見据える。
リュートは、そんなリュミエラに向け「今まで、ありがとう」と告げると、自室を後にした。
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