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「これは、そんなに昔の話じゃないの。 これは私が高校生だった時、噂になった話。 当時本当にそんな事件があったのかどうか、詳しいことは分からない。 ただ、普通の都市伝説より状況が細かく伝わっていてリアルだから、当時聞いた人はみんなあれが本当に起きた話だと信じてた。 駒鳥鬼は元々、昔N峠の駐車場で起きた集団暴行殺人事件の、被害者の幽霊ならしいのね。 犯人達に捕まって引き摺られた時、右足首を骨折している。 だから彼女は、今でも片足を引きずって歩く」 紫煙を漂わせながら、私が続ける。 「何だか随分とリアルな話ですね、それ……犯人は捕まったんですか?」 運転席の若い男が、優しげな顔立ちを曇らせて聞いてくる。 例え仮に100パーセント創作の都市伝説だとしても、この頼りなく優しげな男なら、被害者の女性の苦しみを真剣に慮り可哀想でならないんだろう。 「本当にそんな事件があったのか、実際のところ確かじゃないんだけどね。 ただ、噂では全員は捕まらなかったみたい。 遺体はそのまま残されていて物的証拠は大量に残っていたんだけど、長時間雨晒しで証拠がだいぶ劣化したのと、豪雨の中深夜に危険な峠道だったから警察や救急車の到着が遅れに遅れてね。 その状況で、更に加害者20人以上と見られる事件だったから……まあ何人かは捕まったって話だけど」 「20人って、そんな。逮捕された加害者は、取調べ中に共犯者の名前を言わなかったんですか?」 「正確に言うと、言えなかった。お互いに殆ど面識がなかったから」 「……え?」
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