良き隣人

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山の入り口の駅に着いたが、すでに空気が都心とは違う。 俺は新鮮な高揚した気分を感じながら、早速、山を目指した。 一本道を少し歩くと、前方に俺と同世代位の男がいた。 男の歩調は俺と同じくらいで、だんだん目障りに感じてきた。 俺が追い抜かしたとしても、暫く早歩きしないと引き離せない。 まあ、折角の休日だからノンビリ行こう、追い抜きはやめようと決めた時、 俺は、ふと、数年前に流行った、背筋をぴんと伸ばし、バンザイし手の平を合わせて、足をクロスしながら歩く健康法を思い出した。 試してみると、山道でやると気持ちいい。周りには前を歩く男一人しかいないため、人目が無いことを良いことに、俺は気持ち良く、少しおどけた感じで歩いた。
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