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夏が終わる。 バイク乗ってると、余計わかんだけど 夜の風が変わってきた。 今日も、砂ぼこり入った眼ぇ擦って ヘルメットをバイクに掛ける。 カラコロとドアベル鳴らして 沙耶さんの店に入ると、カウンターの中にゾイと 榊の細い背中。 「ルカくん、おかえりなさい」 オレは、簡単な依頼 済ませて戻ったとこ。 キッチンから沙耶さんが顔を覗かせて 「すぐ ご飯にするわね」って言ってくれる。 「ん、ありがと。泰河たちは まだ?」 「ええ。まだ戻ってないわ。 今夜も試す気なんじゃないかしら?」 泰河と朋樹は、朋樹の実家に帰ってる。 朋樹の神社の神降ろしの間で “白い焔の獣を降ろす” と、躍起になってやがる。 獣は、何でも作用 出来て どこにでも入れちまう らしい。 幽世、地界、下手したら天にも。 でも、泰河に混ざってるものの力は まだ半端な発現なんじゃないか?... って予測。 右眼と右腕にしか、白い焔の模様は出てないし 別の界どころか、朋樹が張った結界にも入れないから。 もう 一度 獣を降ろして、泰河に混ざってる血を 刺激させるか、また取り入れさせる気みたいだ。 『ボティスを探して取り返す。絶対にだ』と 朋樹は何かに取り憑かれたようになっている。
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