奏でるは天使の吐息

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告る覚悟もねぇのに一丁前の独占欲。 誰かに取られるくらいならいっそこのまま…… 横向きで眠るソウタのこめかみへ小さなキスを落とす。 「……テツ兄、なにしてんの?」 突然名前を呼ばれて死ぬほど驚いた。 タイミングがタイミングなだけに……。 驚いた拍子に膝からソウタの頭を落としてしまい慌てたが、運良くクッションの上。 ホッと胸を撫で下ろし、改めて声のした方向をみる。 「大丈夫。そんくらいじゃ起きないから、そいつ。」 部屋のドアを開け放ち、それに寄りかかってこちらを見ていたのは……ソウタの双子の妹、爽香(さやか)だった。 よ!なんて片手を上げて軽い挨拶をされたが、ここの家族はドアをノックするという常識を知らないのだろうか。 「ねぇ、テツ兄。ソタの事好きなの?」 なっ。いや、えと、その……さっきの、見られたのか? 「あぁ、そんな慌てなくても平気だから。アタシ偏見とかないし。むしろ好物っていうか? いや待てよ?でも双子の兄がってのは……けど相手はテツ兄でしょ?んー。アリだな!アリ!うん!!」 なんかブツブツと自問自答してっけど、えーと。つまり。俺の気持ちはバレたって事、だよな?嫌悪はされてなさそうだけど。はは。
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