奏でるは天使の吐息

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「ちょっと!百合子さん!入る時はちゃんとノックしてって言ってんじゃん!!」 「だって、両手が塞がってるんだもの。仕方が無いでしょ?」 「じゃあどうやってドア開けたんだよ!!もう!!」 ビビった……本当になんの前触れもなく急に現れたから、驚いて軽くジャンプしちまった。恥ずかしいからバレてませんように。 「テッちゃんなんてジャンプしちゃっただろ!!」 あ。バレてた。 「なぁにー。テツ君見かけによらずビビリなの?やだ。萌えるわ!!」 ……百合子さん、何言ってんの? まだドキドキの治まらない胸を押さえつつ、百合子さんを見れば、ニヤニヤと怪しげに笑っていた。 「ハイ。温かいココアと、残り物で悪いんだけどケーキも置いてくわね。」 小さめのテーブルに置かれたマグカップの中にはマシュマロが浮かべられたココアと、真っ赤なイチゴとブサイクなサンタの砂糖菓子の乗ったショートケーキ。 そういや今日はクリスマスだったな。 なのにソウタは俺に会いに来た。て事は、彼女はいなそうだ。よし!! 淡い期待がむくりと湧き上がり、心の中でガッツポーズ。
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