奏でるは天使の吐息

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ベッドに背を預け、黙々とゲームを進める。 隣で同じく背を預け、一緒に選択肢を選んでくれているソウタはポテチの袋をバリッと開けて抱き抱えている。さっきケーキ食ったばっかなのに。 パリッ!パリッ!もぐもぐ。パリパリ。 小気味よい音が響いていたと思ってたのに、 さっきからひとつも聞こえない。そういや問いかけの声も聞こえなくなっている。 不思議に思い隣を見れば、ポテチの袋に顔が突っ込みそうなほど頭を下げ、寝落ちていた。 やっぱシュミレーションなんてつまんなかったか。 「……ソウタ?おーい。」 呼んでみるも起きる気配はまったくない。 つか、その体勢でよく寝れるな。首痛くねぇの? とりあえずポテチの袋を取り上げようと、そっと腕を退かしてみる。出来た隙間から袋を引っ張ると、一緒にソウタも倒れてきて。 やべ!と思ったが、時すでに遅し。 ソウタの頭は見事に俺の太股へ着地した。 床に落ちなくて良かった……けど、膝枕は、ちょっと。あの、ご遠慮願いたい。 なおも眠り続けるソウタの気持ち良さそうな寝息がすぅすぅと聞こえる。
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