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窓際に肘を付き一人で過ぎ行く風景見ながら黄昏てんのに、 日「 今日ぐらいは、おめでとうって言ってやれよ?」 窓の反射越しで見える日高は前を向いたままハンドルを握っていた 西「 さあ?…気分が乗ってたらね。」 お互い目を合わせないで会話をするのなんていつぶりだろうか… 日「 まー、どう思ってんのかなんて知りたかねーけど。」 西「 なんだお前、めんどくせ。」 今日の日高は一段とめんどくさい。 いつも他人のことに大して興味を示さないくせに、 日「 お前のがめんどくせーけど…まー、あれだよ 」 こういう歯切れの悪い話し方に変わる時は、大抵照れ隠しなわけで 日「 奪っちまえよ 」 ほら、全く意味わかんないことまで言い出す 西「 …はっ(笑)お前正気かよ、奪う気あったら式なんて出ねーわ。」 千晃の幸せを優先すると、俺には奪うなんて選択肢は出てこなかった 日「 最近引きこもってるくせに、そういうのは思い悩んでねーのな。あんしーん 」 ヘラヘラ笑い出す日高をひと睨みして 西「 家で仕事してたんですー。決して引きこもりではないですー。」 なんでこいつが迎えに来たのか、なんとなくわかった気がする 俺の心にゆとりを与える もし、奪いたい。なんて発想しててもこいつは否定も肯定もしなさそうだからね
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