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「 はーい、どうぞ!」
久しぶりに聞く千晃の声にドキッとしつつ恐る恐るドアノブを回して中に入る
視界に入った純白のウエディングドレスを身に纏った千晃があまりにも綺麗で言葉が詰まる
こっちに振り返る前に鏡越しで目が合い、先に口を開いたのは
伊「 …ぇ、にっしー…… 」
まだ振り向かずに鏡越しで目が点になってる千晃に
西「 来ないと思った?(笑)」
なんて平然を装いながらゆっくりと近づいていく
世間話なんてしてる時間なんてない、本当は〝 おめでとう 〟ですら言いたくない
ウエディングドレス姿の千晃を目の前にして、
〝 千晃の幸せを優先 〟なんて偽善者チックな考えは呆気なく飛び去る
このまま手を取って奪い去りたいぐらいの気持ちをどうにか抑えて平常心を装う
……俺は、祝福しに来たメンバー。
このフレーズを頭の中で呪文のように唱え続ける
ようやく振り向いた千晃は、どうにか抑えた俺の気持ちを簡単に壊してしまいそうなほど
西「 今までで一番綺麗だよ 」
そんな俺の本音はスルーされて
伊「 …ねぇ、どうして…?」
何故か潤んだ瞳で見つめられてる…
西「 ……大事な人の結婚式には出席するでしょーよ(笑)」
無理やり笑顔を作った
これでいいんだ、あとは〝 おめでとう 〟を言うだけだ
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