死ぬくらいなら死んでやる

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 右手に紙袋が2つ、左手で必死に手すりを掴み、満員電車の中で押し流されないように耐えているのが俺、田村哲也(25)サラリーマンやってます。  久しぶりの休みに俺は趣味の同人誌を買い集めていた。どんな同人誌を買ったかはとてもじゃないが、ここでは言えない。 「次は〇〇駅~○○駅~お出口は右側です」  やっとこの満員電車から解放される。早く家に帰って、買ってきた同人誌を―― 「きゃ~!! 痴漢!! 触ってきたの絶対こいつ!!」  乗客は突然あげられた女性の悲鳴に驚いていた。  だが、俺はもっと驚いていた――なんと、その女性は俺の腕を掴み、そのまま上に掲げた。 「お、俺じゃない!!」 「嘘!! 絶対、あんただった!!」 「どうされましたか?」 「駅員さん、私、この人に痴漢されたんです」 「だから俺じゃない!! 俺じゃないんですよ」 「とりあえずお二人ともこちらに来ていただいても良いですか?」  俺は二人の隙を突いて走って逃げる。が、目の前にいた男にぶつかって転んでしまう。
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