死ぬくらいなら死んでやる

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「ホームを走ると危ないですよー」 「すみません。急いでて」 「待ちなさい!!」  俺を追いかけて来た駅員が転んでいる俺のところまで来る。 「君、なにかしたのかい?」 「俺はやってないんです」 「そうか。とりあえず話を聞こうか」  というと男は私服の内ポケットから警察手帳を取り出した。 「逃げちゃだめだよ。大事にしたくなかったらね」 「はい」  俺はしぶしぶその男に従い、聞かれた質問に答える。 「本当に俺じゃないんです。電車の中では袋と手すりを持っていて、両手がふさがっていたので、その、触るなんでことできません!!」 「その袋の中には何が入っているのか見せてもらってもいいかね?」  やばい、この中には―― 「ダメです!! この袋の中身は見せれません!!」 「そんなこと言える立場じゃないでしょ!! 見せなさいよ!!」  絶対にダメだ。この中を見られては。特に今ここで絶対に―― 「う~ん。嫌がってるところ悪いけど、見ない事にはね。駅員さんちょっとこの人を掴んでてもらってもいいかね」 「やめてくれ~袋の中を見るなぁぁぁ」 「そんなに抵抗するなんて何が入って――」 「こ、これは」  お、終わった。俺の性癖が公衆の面前に―― 「気持ち悪い。やっぱりこいつで間違いないわ!!」     
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