死ぬくらいなら死んでやる

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「君、この大量の痴漢ものの本はどういうことかね?」 「違うんです!! 確かに俺は痴漢ものの同人誌が好きですが、実際に触りたいだなんて思ってないです!!」  集まって来ているみんなの視線が冷たい。 「現行犯で君を捕まえる。付いて来なさい」 「俺じゃない!! 俺じゃないんだよ!! 信じてください」 「こんなものを持っているような人をこの状況で信じる人はいないと思うよ」  周りを見渡すとまるで汚いものを見るかのような視線が俺の方に向いている。 「まもなく2番線に電車が参ります」  俺はこの後どうなる?  捕まったら、会社にも友達にも親にも俺が痴漢をしたと伝わって、誰も俺は無実だって信じてくれないんじゃないか?  社会的に死ぬなら――  それなら、いっそ――死んでやる 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」  2番線の電車が赤く染まっている。
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