ミセス・ミュラー

　私には昔から浪費癖があり、いつだって金の工面に苦労しておりました。
しかし容姿には恵まれていましたので、それを活かして女を誑かし散々貢がせてはトンズラする詐欺師になったのです。

　これが何度も成功したものだから得意になるのも至極当然な事で、次は大物を狙って一攫千金といこうかなどと野望を秘めて出会ったのが、これからお話するミセス・ミュラーという女でございます。