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いつしか空は暗く、河面は藍色の夜空と遊歩道に張られた提灯の橙色の灯りを映して穏やかに波打っていた。
河川敷は場所取りをする人で混み出している。歩けなくなる前にそろそろ俺たちも下りた方が良さそうだ。
(浴衣じゃあんまり食べられないだろうけど)
でも腹ごしらえしておかないともたないだろう。
「何か食べ物買ってく?」
「あ、そうだね!」
遊歩道の屋台を覗く。
浴衣の女の子って何食べられるんだろう?
綿菓子とかりんご飴?
そんなことを思う矢先、
「焼きそばとかがっつり食べとかないとお腹空くよね?」
と星宮が言う。
(がっつり、って…)
星宮は
「焼きそばふたつくださーい」
と嬉しそうに受け取っている。
それから焼きとうもろこしとたこ焼きを買った。
(ホントにがっつり買うね)
こういうところでつい財布の紐が緩む素直なところも星宮らしい。
俺たちは買い込んだ食べ物を手に河川敷に降りる。どうにかスペースを見つけて腰を下ろすと直ぐに
「わー美味しそう!いただきます!」
と早速星宮が包みを開いた。
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