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「華ちゃんならきっと高校生になっても桃香ちゃんのこと空から見てるわ」
「あはは、本当に世話好きのお母さんだったんですね」
「私より池上さんと話したいのかね桃香?」
「おじいちゃん、迎えに来てくれたんだ」
池上さんに頭を下げておじいちゃんの側に行くとジッと紙袋を見る。そしてぽつりと呟いた。
「贔屓の店のじゃない」
「贅沢言わないー。いいじゃない、可愛い孫娘と食べられるなら」
「はっはっは、受験と言って昨年はほとんど顔を見せない孫娘だったがな」
「あのね、高校受験から人生左右されるんだよ?」
「私はいつお迎えがきてもおかしくない命だぞ?孫娘と贔屓の店のカステラも食べられず死ぬのかい?」
口が達者なのは元気でいいけど、いっつも私が負ける。おじいちゃんの長い人生には勝てないということかな。
並んで歩調を祖父に合わせて家に着くとまっすぐに仏壇へ。
仏壇にはおばあちゃんとまだ若いお母さんの写真が置いてある。
自分で言うのもおかしいかもしれないけど、だんだんとこの写真のお母さんに似てきていると思う。
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