予報士

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 頭の中はもう、追求よりも新たに聞かされた発言でいっぱいだった。  確か、天気予報では今週は通して晴れ。降水確率は連日ほぼゼロとか、そんな予報を聞いた気がする。  なのに雷?  最近の天気は変わりやすいから、急激な天候変化による落雷があってもおかしくはない。でも、落ちるって? 雷が、俺に?  訳が判らないに加えて恐怖が募る。ものもらいじゃ死なないし、ミツバチも、過去に刺されたことがあったらマズいのかもしれないけど、俺に過去体験はなかったから、今回はただ痛いですんだ。  でも雷はそうはいかない。  どう考えてもヤバいだろう危険だろう。だってあんなモン、落ちたら確実に命が終わる。  もう完全に、同僚に詰め寄る気は失せていた。意識にあるのはただ、落雷があるとして、それをどう回避すればいいのかということだけだ。  そんな気持ちで仕事に身が入らず過ごしていた俺の頭上に、二日後、確かに雷は落ちた。命には関わらなかったが、会社員としては致命的な、上司からの激しい激しい雷が。 * * *  あれ以来、その口からトンデモ予報を聞かされるのが怖くて、俺は同僚とはかなり距離のある付き合い方を心がけていた。  寄らず触らず、交わす言葉も最小限。でも元々向うが無口なおかげで、誰もそれを不審には思わない。  一応戻った平穏な暮らし。今、心は実に穏やかだ。もうあんな思いは二度としたくない。  そんなのんきさを覚えていたある日の昼休み、背後からぼそりと声をかけられた。 「明日はキリ」  霧? 朝の天気予報じゃ、確か明日も今日同様、薄雲はあるけど晴れと呼べる一日だと言っていた。なのに明日の天気は霧…じゃなくて!  そういうことじゃない。同僚の口からの予報は全部俺に関わることだ。それもたいていろくでもない形で。  キリ。キリ…キリって何だ? どういう意味だ?  多分聞いても返答は得られないだろう。たから俺は自分一人で悩むしかない。  経験でもう知っている、不吉極まりない予報。  さあ明日、俺はどうなる? 予報士…完
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