7 熾烈な争い

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7 熾烈な争い

 東武警察署に所属する勝田は、飛行機内で不意に客室乗務員に映画を勧められる。それは特殊捜査班から勝田に対する指令であり、日光にあるアジトからCIAの非公式工作員(NOC)のリストを盗み出そうとしている大使館職員に対する防諜任務であった。ところが、勝田たちのチームによる作戦の実行中、謎の襲撃者によって勝新太郎以外のメンバーは次々と殺された上にリストも横取りされ、勝田、太巻、新井の3人は重傷を負い、動けるのは真田のみとなる。  真田は今回の任務の監督役であった獄門に連絡を取って会うが、彼は実はこれが特殊捜査班の裏切り者を見つけ出すための偽の任務であること、リスト自体も偽物であったことを明かす。その上で獄門は勝新太郎軍団こそが裏切り者であると断定し逮捕しようとしたため、真田は逃亡する。  宇都宮駅近くのセーフハウスに戻った真田は、身の潔白を証明するため真犯人(内通者)と、彼が情報を売る相手であった「ゾンビ」と呼ばれる武器商人を探り始める。内通者「アルファ」と「ゾンビ」のやり取りが万葉集の一節を使って行われていると気づいた真田は、「ゾンビ」にリストは偽物だという情報を伝える。そんな折、音信不通だった為死んだと思われていた3人がセーフハウスに現れる。真田は3人を疑うものの、弁明は筋が通っており、証拠もないため判断を保留する。その後「アルファ」からの返信に従って真田は「彼」に会いに行く。真田はリストが偽物だと証明した上で、自分なら本物を盗み出せること、そうしたならば3000万の報酬とゾンビの正体を明かすよう取引を持ちかけ、「アルファ」は了承する。  万葉集のリストは次の通り    うちなびく春来(きた)るらし山の際(ま)の遠き木末(こぬれ)の咲き行く見れば  あしひきの岩根こごしみ菅の根を引かばかたみと標のみぞ結ふ    あらたまの年の三年(みとせ)を待ちわびてただ今宵(こよひ)こそ新枕(にひまくら)すれ  この3つの句にレ点が記されてあった。ヒントは枕詞だ。この3つの句をきっかけに真田はアルファの存在を知った。  アルファはこの中にいる。  春山月子 外交官  岩木三郎 セーフハウスのオーナー  新井ミサキ 編集長(勝新太郎のメンバー)    
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