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8 暗号解読
うちなびく春来(きた)るらし山の際(ま)の遠き木末(こぬれ)の咲き行く見れば
うちなびくは、春を意味する。
あしひきの岩根こごしみ菅の根を引かばかたみと標のみぞ結ふ
あしひきは山を意味する。
あらたまの年の三年(みとせ)を待ちわびてただ今宵(こよひ)こそ新枕(にひまくら)すれ
あらたまは月を意味する。
つまり、外交官の春山月子だったのだ。
ある大雨の夜、東京都内で広域暴力団角鷹(かくおう)組の若中頭の松田鶴太郎が刺殺され、拳銃を奪われる事件が起きた。
松田は過去に対立組織である飛龍組の芥川ってヤクザをドスで刺し殺したことがある。
更にその直後、その拳銃を使用した違法カジノ強盗殺人事件が発生、世間は騒然となる。射殺されたのは鶯谷梅子ってディーラー。彼女の正体は女殺し屋、だがプロフェッショナルなので透明人間みたいな存在だった。
驚くことに防犯カメラには犯人の姿は映ってはいなかった。
その犯人は、3ヶ月前に梅子に射殺された本庁捜査1課の如月藤子警視だった。遺体は奥多摩山中に遺棄されたが亡霊として蘇った。
「コレで思い残すことはないわ」
透明だから何を言っても平気だ。
藤子は東京大学卒のエリートで頭脳明晰、射撃の心得もある。冥界では殺し屋として活躍していた。
クビリオニの依頼を受けて現世で仕事を行うのだ。
藤子の犯行をきっかけに派遣社員の柿本は八十島銀行を襲うことを決意。
綿密な計画を企てるが、厳重な防犯体勢の元では単独犯行は不可能であると判断、相応しい共犯者を欲するようになる。そしてある日、派遣会社主催のカラオケ大会に参加した柿本は、かつて、ゼブラボールペンで一緒だった真崎と再会する。2人は正反対の性格ながら、どこか通じ合うものを感じ、以後行動を共にするようになる。現金強奪計画を真崎に伝えた柿本は、真崎に銃の扱い方を教え、実践として恋人の殺害を強要する。そして、躊躇を重ねながらも恋人を射殺した真崎を柿本は「君には素質がある」と称えた。
数日後の夜、柿本は真崎に連れられて浅草の外れにある洞窟にやって来た。
「こんなところにこんなもんがあるたぁねぇ?」
そこにいたのは死んだはずの真崎の恋人だった。
「どーゆーことだ?」
「この世には蘇生玉ってふしーぎな玉がアチコチに眠ってるって話しだぜ?」
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