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敵は多ければ多いほど面白い。
勝海舟
第一聖【嫌いなんだよ】
ここは、神の聖域と呼ばれている場所。
とはいえ、誰も実際に見たことなど無いらしいから、本当のところここが神の聖域なのか、それとも別の場所なのかは分かっていない。
しかし、神と呼ばれるその存在と、その回りで魂を喰われぬよう其処に居続ける者たちがいることは確かなようだ。
神の聖域の簡単な説明をしようか。
説明するほど複雑な作りでもないのだが。
神の聖域はとてつもない広さではあるのだが、形でいうと丸く、その中央部分に神が常にいる。
そしてその中央部分の周りはおおまかに5つに区分されており、1つは海ゾーン、1つは山ゾーン、1つは朝ゾーン、1つは夜ゾーン、そして1つは空ゾーンといった具合だ。
空ゾーンは空に存在しているため、空から見ると、4つ大地が分かれているように見える。
それぞれのゾーンには担当している門番がおり、森の番人は蜘蛛のストレイクといって、目が細く少しチャラい感じの紺のさらっとした髪の男で、海の番人は蛇の氏神といって、紫の髪がもさっとしている淡々とした性格の男だ。
朝ゾーンは鴉の苹里という男で、いつもは真っ白な髪の白鴉として行動しており、タレ目だ。
夜ゾーンは梟のビートという男で、面倒見が良く茶色の髪をしており、空ゾーンは鷲のノーズゼインという男で、青と白が混じったような髪をしており、しっかりしているようで少し天然なところがある。
まあとにかく、それぞれ頼りになる。
今日もそれぞれの持ち場で門番という名の暇つぶしをしている。
そんなある日、急に侵入者が現れた。
警報が鳴るわけでも、誰かが叫んだわけでもなく、ただ、目の前に急に奴らは現れた。
「やあ、久しぶりだね、ガイ。いよいよ寂しくなって私に会いに来たのかな?」
「ふざけたことを。お前を潰しにきたわけじゃない。お前はここで大人しく見ているんだ。可愛がっているあいつらが殺されるところをな」
「そういえば、この前四神のところで暴れたんだって?体力有り余ってるね」
「ああ、壊したつもりが、足りなかったようだ」
そう言いながら、侵入者のボスでもある魔王のガイは、神と向かい合う様にして大きくて真っ赤な椅子を用意し、そこに座った。
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