(内容)

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 パンを食べるときに牛乳を飲むことの喜び。  大学の大教室で、ひとりメモ帳に日記を付けていたこともあった。自動販売機でほうじ茶を買い、大学生協で焼きそばパンやらコーンマヨネーズのパンなどを買った。  ある年にはあの自殺の本が売られて、僕は死の甘さに引かれて、死の崖から転落しそうになった。しかし生きているのである。かつての恋人も、今は祝福してくれるだろうか。あんなにも優しかった彼女だから。それとも、彼女でさえ今の僕を、突き放すだろうか。  恋の妙味。誠実、信頼、悲痛。あんなにも想い合った二人が、今は別の生活を営んでいる。  これからだって、恋くらいあるだろう。きっと、風のように緑色をした、緑色の愛情と恋情が、いつか私のもとに運ばれてくるだろう。人生は根菜のように食感が固くても。
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