混色の果て

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「ヒッ……ぐ、がっ……!?」  呻いて床に転がった。真っ青になって、喉元を掻きむしっている。 「あうっ……ぁがっ……」  脂汗を垂らしながら、俺に向かって右手を伸ばす。 「潤司が自殺用に作ったトリカブトだ。アイツ、薬草庫から根っこをくすねて、粉にしていた。いつでも使えるように、ってな」  毒草として名高いトリカブトは、「附子(ブシ)」という漢方薬の材料にもなる。島では、厳重な管理の元、栽培されている。 「ごぶっ……!」  嘔吐と呼吸困難。こいつに運が残っていたならば、心停止で楽に逝けるだろう。 「じゃあな」  痙攣する隆太郎を残して部屋を出る。そのまま基地の外に向かうと、聖哉が消えた崖の先端を目指した。
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