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二人を見た途端、冷笑なのか失笑なのか、笑い声が頭の中に聞こえてきた。 こんなばかみたいなこと、あるかなあ。 驚きで、その場に釘付けにされた状態になった。 さらっと二人に挨拶をすることが最重要課題だ。デートを目撃したことなど何とも思っていない感じを出さなくてはいけない。 次に、キシが芝田に無関心でいてくれればいい、と願った。 まあ、今更関心はないだろう。 会社辞めることも言わなかったくらいだし。 僕は彼らを正面に見る席にいたが、奥まったスペースで数段高くなっているので、向こうはまだ気づいていなかった。 向かい合って座っている芝田が僕の顔を見て、入口の方へ振り返ったので、 「見ないで」 と制した。 「知り合い?」 芝田は僕に向き直った。僕はキシから視線を外した。 「会社の人」 「どっちが?」 「両方」 答えてから、もう一度キシを見ると、キシも僕を見ていた。 さっきまで芝田とさんざんやりまくって空っぽだったはずなのに、キシの顔を見ると、下腹の奥が捻られたように痛み、瞬く間に欲望が拡がって体を満たしていく感覚に息が止まりそうになり、僕は目をそらした。     
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