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僕はもう二度と君の名前を呼べない。
わたしのどこが不満だったのかしら。
彼から別れの言葉を告げられたとき
全く予想外だったせいで、ぽかんと口を開けてしまったわ。
だって、ねぇ?
ご存知ではない方は分からないでしょうが
わたし、とっても美人なんですよ?
よくスカウトもされますし、芸能人と間違われることもしばしば。
見た目に関して言えば、彼にとって最高のステータスだったはずなのに。
なぜなのかしら?
彼は、至って普通の人だったわ。
容姿も年収も、平々凡々。
唯一、性格だけは素敵だったと思いますわ。
とにかく優しかった。
歴代付き合った男性の中で、ダントツに優しかったわ。
わたしがどんなワガママを言っても、
朗らかな笑みを浮かべて、いいよ、と言ってくれる。
というか、そこだけでしたよ。
彼のいいところは。
わたしは美人の星に生まれてきたゆえ
外見がかっこいい男性とばかり付き合っていました。
さきほど、歴代の恋人の中でダントツに優しかった、と言いましたけれど
ダントツに、容姿は劣っておりました。
わたしは、彼の顔を見るたび
なんて平凡な顔立ちなんでしょう、とげんなりしていましたが
それでも、七年もお付き合いしましたものね。
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