笑わない女の子と笑いすぎる男の子の、笑顔にまつわる物語

12/17
前へ
/17ページ
次へ
 その孤児院の院長先生っていうのが変な人でね~。思い出すたび笑っちゃう! あは!  その頃僕は泣いてばかりでね。……想像もつかない? そうだったんだよ。あはは!  でね。院長先生がある日泣いてばっかりの僕にぶち切れてこう言ったのさ。 『あんたは今不幸のどん底よ! 辛いのも、泣くのも分かるけど、泣いたって何も変わりやしない! 辛いなら笑いなさい! 泣きたいなら笑いなさい! 笑って笑って、周りの人を笑わせなさい! そうやって周囲を幸せにすれば、きっと皆はあんたを幸せにするわ!』って。  すとんと胸に落ちてきたんだ。すんごい無茶苦茶で単純な理論。でもすごく納得できて。実践しなきゃって思って、実践して。で、結果僕は今幸せなんだ。これが僕の哲学。  ……僕は思うんだけど、心の中のエネルギーって尽きる事が無くて、なんだろ、笑いのエネルギーを周りにぶつけると、もっと大きなエネルギーになって帰ってくるんだ! それを受け取ると、心が温かくなって気持ちいいよ~? そうして更に笑って、帰ってきて……永久機関の完成! あはははは!」  思いがけない話。こんな笑ってばかりの人だから、きっと何も考えていない、しょうもない話だと思っていたのに。     
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加